肝試しで(1) 〜イケメンなのにビビってお漏らししちゃった〜2018-04-21(Sat)
あんなものは人間の脳が見せる幻影であって、大抵の場合は「幽霊の正体見たり枯れ尾花」なわけである。自称霊能者の言うことや心霊写真の類もすべて嘘に塗り固められているのだ。
だから俺が肝試しで見た不可思議なものも当然、恐怖心からくる幻なわけさ。
それは小雨のパラつく夜だった。
俺は摩耶花(まやか)の手を引いて山道を歩いていた。山道と言っても舗装されているし、子ども会で『ナイトハイク』するレベルの初心者用コースだ。迷いようがない。
「こんなの怖くないだろ? バカにすんなってんだよな」
「ぅん…」
肯定なのか否定なのか意思表示のハッキリしない摩耶花だ。うつむいたままついてくる。会話の成立しない、おどおどした暗い娘だ。服装は灰色のロンTに黒っぽいジーパンだし、なおさら暗闇と同化している。
への字に結ばれた口に不安そうな瞳。あまり表情の変化はないが、繋いでいる手は震えている。顔面蒼白で暗闇に顔だけが浮いているみたいだった。
だが顔はほっそりして可愛い。漆黒の長い髪が背景の闇に溶け込んでキレイだ。
性格はともかく顔が好みだ。裸にひん剥いて抱き締めたいと妄想してしまう。C学3年になったばかりの俺の内に秘めた性衝動だと笑ってくれていい。とにかく摩耶花のおっぱいを触ってみたいと毎日 思っていた。
「怖がってんの? ハッハッ。俺がいるから大丈夫だって」
「…………」
「街灯だってあるし、オバケ役は大人がやってんだし」
「…………」
ずっと一方的に喋っていた。俺が無言になれば摩耶花はもっと怯えるだろうからな。歳上としてはこういう配慮が必要なわけだ。
「「きぃやぁー!!」」
ビクッ
何やら前方から女子の悲鳴が聞こえてきた。
「なんだ…? ビビらせやがって」
先程から至る所で悲鳴が乱発していたので不思議なことはない。今のは意外と近いな。前のペアに追いついてしまったのだろうか。
5分前に出発したペアは由香里(ゆかり)と友歌(ともか)だった。悲鳴はきっと彼女たちのものだろう。少しペースを落とすか。
油断した。
ひゅっ……
突然、目の前に首吊り死体が落ちてきた。
「うわあっ!!?」
俺は首を引っ込めた。
ギュッと摩耶花の手を握りしめる。摩耶花も強く握り返した。お互いに緊張が走る。
よく見れば、びよ〜んっと枝に括り付けられた人形がバンジージャンプのように落ちてきただけだ。
「なななんだ人形かよよビビらせや。んはっがってぇ… ハァハァ」
心臓がドキドキとする。まったく怖くはないがビックリ箱のような驚きはあった。こんなの誰だって驚くんだよっ。ちらと摩耶花を見る。彼女は目をつぶって無表情のまま俺の肩に身を寄せている。見事なまでにリアクションが薄いぜ。これじゃまるで俺のほうがビビって声を上げたみたいだった。ぜんぜん怖くないけどな。
「ハハッ… 子ども騙しなんだよなっ…。くそっ、こんなもん誰だって驚くぜ? な?」
「いる……」
「ん?」
「後ろに…」
「なんだ?」
摩耶花はプルプルと震えながらつぶやいていた。聞き取りづらく何を言っているか解らない。
「後ろに女の霊が……」
「は?」
後ろがなんだって? 俺は振り向いて確認する。何もない。俺は再び前に向き直って摩耶花の手を引き先へと急ぐことにした。
「ハハッ… ま、ま、摩耶花は霊感強いからな〜。なんか見えたんか?」
「振り向いちゃダメだよ」
え……………?
……………先に言えっ。
カサッ……
落ち葉を踏むような音が聞こえた。真後ろだ。
一瞬にして背筋が凍る。ビクッと懐中電灯を向ける。
「ひっ!?」
着物の女が立っていた。
『うふふふふふ………』
白装束というやつだろうか。全身血まみれで、頭に三角のやつを付けたベタな幽霊だった。
「うっぎゃああっ!!?」
俺は足がもつれて尻もちをついた。繋いでいた手を離してしまう。懐中電灯も落としていた。慌てて立ち上がり、懐中電灯を回収。摩耶花の手を取って逃げるようにその場を後にする。極めて冷静に対処したぜ。摩耶花は驚きのあまり震えが酷い。ガクガクブルブルと身を固くしている。
「ま、まっ 摩耶花っ。大丈夫だ。さっきのは子ども会のおばさんだろ。体型でわかったわ。くそっ。手の込んだ真似を…… ハハッ…」
摩耶花の返事はなかった。
異様に手が冷たい。
???
数十メートル歩いたところで握ったその手をよく見てみた。
真っ白な手は左手だけを残して身体が消えている。
「!!!???」
暗闇の中には生々しい『手』だけが浮かんでいるではないか。
「ふぎっ」
俺は手首を放り投げて全力で走った。
『あはははははは………』
「ひっ!?」
いま、なにか聴こえた?
摩耶花?
俺の摩耶花はどこに行った?
辺りを見回しながら摩耶花の姿を捜した。
いつの間にか舗装されていた道路はなくなっていた。霧が濃いな…。霧雨が鬱陶しい。暗すぎて懐中電灯も役に立っていない。ここはどこだ? 肝試しのコースは一本道のはずだが方向感が掴めない。まずいな…。ルールでは必ずペアで手を繋いでいなければならないのだ。急いで摩耶花を捜さないと。
「ま、摩耶花〜……?」
オバケなんてないさ。嘘さ。
いるわけがない。オバケを見る人間ってのは大抵が情緒不安定なんだ。
「……………」
しーんと静まり返った森の中だ。鬱蒼と高い木々が生い茂っている。
ガサガサガサッ
!?
ビクッ
「すいませーんっ」
「ひぃいぃっ!?」
俺は飛び上がって驚いた。
「あ、違うんです。あたしっ…。きゃっ!?」
「うああっ」
突然、誰かに抱きつかれて、二人して傾斜のある土の上に倒れる。むぎゅうと俺の股間に生温かい感触が密着してきた。闇の世界にもたらされた温かい光だ。
ショートカットの少女が俺の上に乗っかっていた。
くりっとした大きな目に少し開いた口。赤みがかった自然な色の髪に真っ白なワンピース姿。ワンピースの下は生パンらしい。隠れて見えないがダイレクトにおちんちんに押し充てられているのだ。少女の股間が俺の股間にむっちりと引っ付いている。薄手のカーゴパンツの上から女児用パンツの感触が伝わってきた。むぎゅうううと肉棒を絶対領域の股間で圧し潰してくる。割れ目がぱっくりと肉棒を挟み込んでいる感触だ。
偶然か解らないが俺の手は地面に抑えつけられていて手首がしっかりと握られている。これじゃ、騎乗位…… 俺はまるで抵抗できないように抑えつけられた女の子のようだ。
「いたたた…。いった〜い…」
幼い顔立ちだな。近所で見かけたことのない娘だ。
それが希愛(のあ)との出逢いだった。

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