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女子のお誕生会で(9)2017-09-30(Sat)

 薄っぺらい紙皿の落下軌道は読み辛い。
 おぼんとは訳が違うのだ。
 これはまずい…。
 びよよんっと勃起したおちんちんが女子たちの目に晒されるまで、後、ゼロコンマ何秒だろうか。このまま丸出しにして恥を晒して生きるのか? そんなのはダメだ。立派に芸をやり抜いてみせる!

 スローモーションで紙皿が飛んでいく中、おちんちんは高速でびよよんと激しく前後に振れていた。女子たちの大半はこのエレクト状態のおちんちんを見たことは、たぶんない。
 見られて堪るか!!
「うぉおおおおお!!!」
 俺のチャクラが全開だ!
 ひらひら舞う紙皿。前方に弾き飛ばされただけなのでまだ間に合う。バシッと右手が紙皿の底を捉えた。そのまま、ばちいんっと股間に叩きつける。

「ぅぐ…」
 ふぅ…。

「おおお…」
 女子たちの歓声。
 ぱちぱちとまばらな拍手。
 落ちそうで落ちなかったので芸は成立しただろう。「すごいねー」という声が3割。「なぁんだ」という落胆の念が7割くらいか。

「すごいじゃーん草凪っ。ぽろり回避!」
 喜んでいるのは笹木だ。満面の笑みで俺を讃えている。パチパチと指先を反らして拍手するほどだ。しかしどこか小馬鹿にしている感が否めないな、コイツの場合。

「ねえ今みんな見えた?」と山元がはしゃいで全員に訊ねた。
「今のは早業だったね〜。見えなかったよ。すごいすごいっ」と喜ぶ渓口。
「ちょっとドキドキした。草凪って芸達者じゃん」と褒める秀才お嬢様の小島。
「ちっ 惜しかったな。もう少しでぽろりんだったのになっ」とガサツな喜多野。

「うるせぇっ。どうだっ。これで満足か!」
 俺はふと女子たちの前で全裸で勃起して何やってんだ… と我に返った。真っ赤っカァ〜っと顔がどんどん熱くなっていく。何だか変だ。昔と違う。プールの授業で女子と一緒に着替えているときにおちんちんをプラプラ露出させて恥ずかしがるコイツらを見るのはおもしろかった。だがこうしてヤレヤレと囃し立てられて、紙皿で隠しているとはいえ全裸になるのはかなり恥ずかしい。
 自然と背が曲がって内股になっていた。

「まさかそれで終わりじゃないっしょ? 次は?」砂藤がニッと口を曲げて笑った。
「草凪ならもっとすごいのできるしっ」笹木はオレンジジュースをストローで飲んでから合いの手を入れる。自慢げに言いやがって。俺を乗せようとしているようだ。

「ちょ…」

「もっと!」渡部妹が可愛く頭のリボンを揺らして拍手した。
「ね〜。見たいよね〜?」鼻メガネを装着した山元がここにきてテンションを上げてきた。
「やれやれーっ」便乗しているのは柏城だ。ぽりぽりとお菓子を食べながら拳を振り上げる。
「なんか前にぽんっと飛ばなかった? ふつーあんな風になるかな?」市河が隣の小島にヒソヒソと耳打ちをしている。
「テレビに出れるよ。デビューしちゃえっ」きゃっきゃと上げてくるのは渡部姉だ。

 結局、俺の声は掻き消されてしまう。

「ちっ すげーのやってやんよ!」
 俺は紙皿を右手で抑えたまま頂点を持つ。これを一瞬にしてひっくり返すのだ。やってやる。何だか頭に血が上ってきた。こんな簡単な芸でぽろりするわけがない。大丈夫だと言い聞かせた。よっぽどのアクシデントがない限りは見えやしねぇよ。

 ゴクリと息を呑む女子たち。

「ハァーァァァ…」
 右手に力を込めた。
 女子たちのキラキラした目が俺の股間に注目する。辺りが静まり返った。おちんちんはまだ勃起中だ。しかし紙皿を少しだけ浮かせて高速回転させれば問題ない。俺ならできる。

「せぇい!!」
 くるっと紙皿を回転ドアのように回転させた。
 カスッ
 紙皿を見事にひっくり返して俺はじゃーんと左手を広げた。

「…」
「え…」
「きゃっ」
「なに今のっ?」
「え、見えなかったよ」
「やだぁ〜 出ちゃったんじゃない?」
「見えた? 私 見えなかったけど。でも遅かったよね」
 同時に喋りだす女子たち。次第に声が大きくなっていった。

「きゃー!!」
「やんっ なんか見えたよ!!」
「いやー! 何かぶらんってなったもん!」
「やったな! 草凪!」
「ぷっっはっはっはっ!!!」
 次の瞬間、悲鳴と笑い声が同時に響いた。

 最後に笑ったのが笹木だということ以外は誰が何を喋っているのか解らなかった。
 『出た』のだろうか…? いや、紙皿は高速回転させたはず。しかしおぼんほどの硬さがないペラペラの紙皿では俺のスピードについてこれなかったのか? それに回転させたとき、硬い肉棒に紙皿がカスッと掠った気がする。確かにぶらんっと紙皿の外にぽろりしたような気もした。脂汗が垂れてくる。

 ちらとダイニングを見ると中邑のお母さんは笑顔だが、目が笑っていない。おちんちんを娘たちの前で露出したらPTAで断罪しますよの目だ。

「出たよな!?」喜多野が何やら興奮した様子でみんなに聞いていた。
「私は見えなかったよ」伊駒がおっとりと答える。
「も一回やって! ちゃんと見えなかった」砂藤がなぜか怒っている。
「見えちゃったよ… もうっ」小さくつぶやく中邑。困り顔で顔を真っ赤にして可愛い。俺は彼女の声を聞き逃さないぞ。

 このまま芸失敗と思われるのは納得がいかない。
「見てろっ」
 調子に乗った俺は再び構える。女子たちの反応から見えたと言っているのは2割程度。つまり、もっと高速で回転させれば見えないはずだ。
「ハァァー…」

「みんな静かにして、草凪がやるって」笹木が前のめりになってこちらに顔を近づけた。
「今度こそぽろりだっ」渓口も寝転んで体制を変え、下から見上げてくる。

「ちょっ ソコ! その線からこっち出るな!」
 俺に叱られた渓口は少しだけ下がった。まったく近頃のガキは…。

「さっき絶対出てたって」守谷がまだコソコソと誰かと話している。
「見えなかったなぁ」残念そうな丸っこい顔の杁山。

 俺が構え直してやっとシーンとなる。今度こそ確実にクレームを入れられないくらい完璧に回転させるぞ…。紙皿がぺらっとなるから高速回転についてこられないというなら、今度は指先を広げてやるか。指を傘のように骨組みに見立ててやるのだ。
「ハァァー…」
「ごくんっ」
 女子たちの顔が何だか熱っぽい。みんな頬がほのかに上気してピンクに染まっていた。視線が熱い。木から落ちそうな子どもを見守る母親的な心境なのか、心配そうな顔だ。

「せぇぇぇぇい!!!」
 紙皿をくるりと回転させた。
 よし。今度は肉棒に当たらなかった。ブランブランしなかったぞ。

「キャー!!!」

 一斉に悲鳴が上がった。
 ぷら〜んとおちんちんがぽろりしている。
 あれ…?
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女子のお誕生会で(8)2017-09-23(Sat)

「早く続きっ」
「やれやれっ 丸出しにしたらアウトだよっ」
 ギャル的なノリで笹木と砂藤が盛り上がっていた。

「…走って跳べよっ」
 喜多野は取り繕うように声を張り上げた。キャラを保とうとしているのかも知れない。

「失敗しちゃえっ」
 むしろおちんちん丸出しを大いに期待するガキっぽい発想の渓口。根っからの悪戯っ子だ。

 なぜかビクビクッ ビクンッとおちんちんが跳ねた。
 勃起はバレていない。
 だから大丈夫だ。芸はまだ続けられる…。ずっと隠していればいいのだから楽なものさ。

「滑るから靴下脱いだほうがいいよ〜」
 柏城が心配そうに教えてくれた。お節介な彼女らしい発言だ。渓口なら気づいても間違いなく黙っているだろう。
 俺は「いや気づいてたけど?」みたいな顔で「クスクス」と笑う女子たちを制した。身体を曲げて靴下をスッスッと脱ぐ。転ばないように気をつけながらだ。
 脱いだブリーフと靴下は芸の邪魔になるから後ろに放り投げた。これで全裸だ。変な帽子・メガネと蝶ネクタイ以外は一糸まとわぬすっぽんぽん。しかも絶賛勃起中だ。直径の短い薄っぺらな紙皿だけが生命線だった。

「やるじゃん草凪っ」
 サイドポニテの笹木が髪を揺らしながら微笑んだ。珍しく人を褒めてやがる。俺も男らしいだろとばかりに胸を張った。

「さっきはびっくりしたけど草凪ってやっぱ芸達者なんだよね」
 中邑がピンクに染まった頬で隣の西濃と伊駒に解説している。「あれがウチのクラスの変態よ」というニュアンスが含まれていた。

「盛り上がってきたじゃない」
 ダイニングから静香さんがお菓子の皿とケーキを持ってきた。中邑が「あ、飲み物もいるよね」と動こうとするが隣の伊駒に制されて、何人かが飲み物と食べ物を運ぶのを手伝った。
 ツイスターゲーム会場は一転して草凪100%オンステージとして観客席ができあがっていく。静香さんが一旦離れれてビデオカメラを持ってきた。ローテーブルの上に設置されて完成だ。

 ポッキー的なものをポリポリしながら笹木が笑う。
「お待たせ草凪っ。さ、始めちゃってー」

 女子たちが娯楽として俺の芸を待ち望んでいる。みんなの目がキラキラしていた。中邑を祝うためにみんなおめかししてる。普段着と違って余所行きの良い服だ。お洒落に着こなして、慣れないメイクも軽くして、香水なんかも振って。特に中邑の普段と違う下ろした髪型は黒髪ストレートで、まるでお姫様のようなきらびやかさだ。
 ガキンチョの渡部妹でさえ頭に大きな赤いリボンを付けてお洒落を楽しんでいる。14人の少女と大人な静香さんとついでに中邑のお母さん…。みんなちゃんと服を着ているんだ。
 それに対して俺は普段通りの小汚い恰好でノコノコと現れ、挙句、普段以下のすっぽんぽんという恥ずかしい姿になった。
 男の俺だけが今から風呂に入るみたいに素っ裸なのだ。クラスメイトの女子の家で全裸…。みんなが見ている前で、生まれたままの姿。小さな紙皿でおちんちんを隠した状態…。
 ジロジロ…、クスクス…、うふふっと女子たちの表情が朗らかだ。優位に立った者の笑み。民主主義国家の裕福な家庭に生まれたお嬢さんたちが、着るものもなく、独裁と飢えで苦しむ最貧国の俺を笑ってやがる。
 動物園で檻の外から発情する猿を見ているみたいに、水族館で柵の外からアシカショーでも見るみたいに。観客席から自分に害が及ぶことはないと思って安心して見ているんだ。
「…」
 俺は悔しくて何とかしてこいつらにも同じ「恥ずかしい」を味あわせてやりたいと思った。

「ボサッとしてんなよ! 恥ずかしいんか?」
 喜多野が調子を取り戻したように野次る。あははっとみんなに一際大きく笑われてしまう。しまった…、動きを止めたりすると恥ずかしがってると思われちまう。
「うるせー。ボケッ! 今からやんだよ!」
 照れ隠しに怒鳴って俺は両足を開く。
 紙皿の裏で金玉がぶらりんっと揺れた。誰にもバレていない。
 構えて…。
 左手で押さえていた紙皿をパッと離し、一瞬で右手でフォローする早業を見せてやろう。…と思ったのだが勃起していることを思い出した。
「………」
 冷や汗が垂れる…。

 しーんと静まり返り、固唾を呑んで女子たちは注目している。今か今かと裸芸を期待の目で見守っている。ゴクリと中邑が唾を呑んだ。女子たちの息遣いが聴こえる。

 まずい。
 手が離せない。
 今、左手を離したら重力でひらひらと落下するよりも先に、靭やかに硬く勃起したおちんちんがバネとなり紙皿をぽーんと前方に弾き飛ばすだろう。
 勃起おちんちんを見られてしまう…。
 そう思うと益々ビクンッとおちんちんが脈打った。

 いや、大丈夫。問題ない。
 ばいんっと紙皿を前方に弾き飛ばす前に俺の右手が抑えればいんじゃね?

 簡単なことだ。
 俺ならできる。
 あまり時間をかけるとまた早くしろとクレームが入るだろ…。
 俺は意を決した。

「ハッ」
 左手を高らかに上げ、顔の横にパッと指を開いて戯ける。
 右手は高速で股間へ。

 ばいんっ

 紙皿が弾け飛んだ。

 どくぅん… どくぅん…

 心臓の音がヤケにスローで響いてきやがる。視線だけ下に向けてみるとカッチカチに勃起したおちんちんが紙皿を高速で射出するところだった。紙皿がばいんっと前方に飛んでいく。0.5センチ… 1センチ… 2センチ… 4センチ… 8センチと離れていき、空中に放り出されるペラペラの紙皿。
 これでおちんちんを覆い隠すものはもう何一つない。

 女子たちの目はきらきらと輝き、一瞬たりとも見逃すまいと瞳を光らせていた。ふんーっと鼻息やはっと息を呑む息遣い、「ぁ」という誰かの小さな声まで聞こえてきた。
 俺と彼女たちの間には薄い紙皿が一枚だけだ。
 女子たちは半円状に広がっているので、その角度からはギリおちんちんが隠れているだろうと思う。
 みんなの顔がどんな表情なのかよく伝わってきた。
 邪魔な紙皿、はよ落ちろと呪いの念が飛んでくるようだ。
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女子のお誕生会で(7)2017-09-16(Sat)

 裸になることに躊躇していると思われてはいけない。
 男はいつも堂々としていればいいのだ。

 そう思っていた。だがブリーフが膝を通り抜けると急速に恥ずかしさが増していく。昔はおちんちんを女子の前で丸出しにして踊って見せつけ、笑いをとるくらいなんでもなかったはずだ。それなのに後悔している自分がいる。

「いいぞ〜」
「きゃあっ」
「早く脱いじゃえ」
「いやぁ…」
 女子たちは各々、声援を送り続けた。

 ぷるぷると震えて出す。片足を上げてブリーフを脱ぐときに転んだらまずい。興奮しているわけでもないのに訳も分からず勃起しているのだ。このエレクトした状態を見られるのは、おふざけで裸になって笑いを取るという次元とはかけ離れている。意味合いが違ってくる。だから万が一にも紙皿は退けるわけにはいかない。

 右手だけでブリーフを引き下ろしていく。身体をくの字に曲げ、ブリーフが足首に到達する。慎重に…。だが迅速に脱ぎ去らなければならなかった。脱ぐスピードが遅いと躊躇していると思われてしまう。

 すっと左足を上げブリーフを引き抜いた。と思った。
 あれ…。
 ぐらっ… とバランスが崩れる。普段ならこんなことでグラつくわけがないのに…。
「おっ …と」
 とっとっと… などと右足でケンケンして女子たちが見ているソファーのほうへ近づいてしまった。
「きゃっ」
「やぁだ!」

 悲鳴が俺を焦らせる。

「転ぶよっ!」
 渓口が俺のアクシデントを待ってましたとばかりに起きて欲しい現象を口にする。期待に胸膨らませた表情だ。

「…と」
 何とか踏みとどまった…。
 かかとに引っかかっていたブリーフを引き抜いて左足を大地に根付かせる。女子たちは「ホッ」としたような「なぁんだ」と言うようなそれぞれ悲喜こもごもだ。

 ここで転んだら勃起したおちんちんがブラブラと飛び出ることになって悲鳴の嵐だろう。俺もお婿に行けなくなってしまう。人体切断マジックで本当に身体が真っ二つになるようなものだ。そんなエンターテイナーの端くれにも置けないミスを犯すところだった。

 ドキドキしながら右足からすっとブリーフを引き抜いてやった。
 どうだ。靴下を除いて堂々と恥ずかしがらずに全裸になってやったぞ。恥ずかしがって脱ぐのを躊躇すると余計に恥ずかしいものなのだ。俺みたいにスッスッスッと脱げば何も恥ずかしくない。スッと顔を上げ、ドヤ顔で女子たちを見る。
「!?」
 近い!

 手を伸ばせば笹木の頭を叩けそうなくらい近かった。笹木はちょっと口を開け、びっくりしたような表情で頬を染めていた。ケンケンしてちょっと前に出たことでこんなに観客席と近いのだと実感する。28の瞳がくりっと裸の俺を間近で注視しているのだ。

「…」
 俺は慌てて何ごともなかったかのようにバックする。何だか顔が熱かった。戸惑っているなどとバレてはエンターテイナー失格だ。澄まし顔で元の位置に戻る。
「っぁっ!?」
 足がもつれ、つるっと滑った。

 すってーん!

「きゃー!!」
「やだーっ もうっ!」

 しまった!
 一斉に女子たちから悲鳴が上がる。今日イチの声量だ。
 ガタッとダイニングでお母さんとお姉さんが席を立った。「あの100%の芸ね。おもしろいからいいわね」と微笑んでいた大人たちが慌てたのだ。ここでバッキバキに勃起した猥褻物を陳列してしまったらちょっと主催者としては聞いていた話と違いますけどという雰囲気である。

 俺は足をVの字に天高く掲げ、女子たちに股間を差し出していた。

 左手の紙皿は… しっかり股間にベタ付けだ。
 受け身は右手だけ。この左手は密着させたまま離すわけにはいかないという意志が勝った。

 一瞬、目が鬼のようになったお母さんとお姉さんは「なんだ、大丈夫なのね」という顔でイスに座り直した。
 女子たちも早とちりで顔を伏せているやつが中邑を始めとして何人もいた。おちんちんがぽろんっと露出したのだと思い込んだのだろう。少女たちの頭の中でおちんちんがゾウさんの鼻のようにブラブラと揺れるエッチな想像を働かせたに違いない。どエロめ!
「ちょっ 嫌だっ」
 本気で嫌がって顔を覆い伏せる中邑。
「ひぃやぁんっ」
 この素っ頓狂な悲鳴は誰だ?
「ひゃっ」
 意外なのは喜多野だ。彼女は女の子みたいに顔を赤くして両手で顔を覆っていた。オラオラ系かと思ったら異性の裸に耐性はないらしい。
「ぶっははっ!」
「だっさーい」
 目を逸らさない笹木と砂藤はちゃんと股間が隠されていることにいち早く気づいている。単純に転んだことが面白いようだ。
「あはははっ!」
 渓口も無邪気に笑っていた。彼女の反応でおちんちんが本当に露出したわけじゃないと悟った女子たちが片目を少しずつ開き、両手を顔から離していった。
 ぽけっとしていた渡部妹もやっと面白さを理解したのか手を叩いて喜んでいる。だいたい子どもって人の失敗で笑うんだ。

「!?」
 ぬぅっと首を伸ばして守谷が俺の股間が凝視していた。なんとかおちんちんが見えないものかと真剣な眼差しだ。
 俺はささっと立ち上がる。

「……」
 もう一人、ぽっちゃりの杁山も目を見開いて首を傾げていた。電車で真向かいに座った女子高生のパンツを覗こうとしているおじさんみたいに下から見れば行けるんじゃ?といった表情だ。
 渡部姉と西濃はまだ顔を伏せていた。恥ずかしがりめ。

 キッ
 市河が睨みつけるようにメガネを光らせていた。こいつは真面目だから怒っているのかも知れない。お母さん的な見方をしているようだ。バカの癖に。

 伊駒は落ち着いた顔で眺めている。むしろ冷めきっているようだ。

「写真撮ってやろうと思ったのにっ」
「なんだ、びっくりした。おちんちんが出ちゃったのかと思った」
「むしろミスしたと見せかけた高度なエンターテイメントかもっ」
 きゃきゃと囃し立てる山元、柏城、小島。

 女子たちの様々な反応でおちんちんは硬度を増していった。ビクビクンッと紙皿を跳ね除けようとしている。
「くっ…」
 俺は堂々としていなければならない。これは小島が言うようにわざとミスったフリをする高度な技術なのだ。なのに背が丸まり腰が引けている。
 何だか異常に顔や耳がグツグツと熱いんだ…。
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女子のお誕生会で(6)2017-09-09(Sat)

「きゃーっ」
 黄色い悲鳴が方々で上がる。

 けっ。
 まだTシャツを脱いだだけなのに、この程度で悲鳴とは。女というやつはピーチクパーク煩いったらないぜ。

 俺はカーテンの全開になったベランダを背にして上半身裸になった。窓も開いているので涼しい風も入ってくる。
 Tシャツを脱ぐときに例の変な帽子が邪魔だったので一緒に脱げたわけだが、もう一度ちゃんと被り直した。ただ全裸になるよりもこういうアイテムを身に付けていたほうが衣装っぽくていい。蝶ネクタイとHAPPYとデザインされたメガネもあるので、これでただの素っ裸ではなくなる。れっきとした舞台衣装なのだ。

「やだ、なんか乳首勃ってる…」

 誰かが小声で誰かに耳打ちをしている。構うもんか。何も恥ずかしいことなんてない。ハーフパンツに手をかけてボタンを外し、一気に下ろす。
「きゃーっ」
「いやだっ」
 ブリーフ姿の俺を見て女子たちはより一層、声を上げた。
 おちんちんが少しムクリと反応する。

「本当に脱いでるしっ」と小島。
「マジでやるんだっ」と渡部姉。

 ムクムク…。

「なんか動いてない?」と山元が市河に聞いていた。

 見られてる…。
 ムクムクムク…。

 俺は清々しい気持ちで足でハーフパンツを蹴飛ばした。床に置いておいた直径15センチの紙皿を拾い上げる。軽く股間に充てて半勃起のおちんちんをさり気なく隠した。
 何だろう、この気持ち…。背を反らし、胸を張った。足も肩幅に開いて威風堂々と下着姿を見せてやった。紙皿で勃起し始めているのは隠しているが…。これは女子たちが恥ずかしいだろうから隠してやっているだけだ。
 慌てているのはむしろ女どものほうなのだ。

「もうっ」
 中邑なんか頬を染めて目線を逸らしているじゃないか。俺が堂々と澄ました顔で裸体を向けてやったので彼女は恥ずかしがっている。

「いいぞいいぞっ」
 しかし笹木はゆったり床に腰を下ろして笑っていた。渓口も足をバタつかせ、手を叩いて笑っている。中邑と違って女らしさの欠片もない。

 女子の反応は様々だ。
 中邑の両隣に座る西濃と伊駒も顔を赤くしている。恥じらいがあって大変よろしい。
 伊駒の隣にちょこんと座る渡部妹は小首を傾げ、何が起きているのか解っていないようだった。こいつは裸芸の何がおもしろいのかも解らないだろうな。

 ショーを単純に楽しんでいるのは笹木を筆頭に、渓口、山元、柏城、喜多野、砂藤、渡部だ。彼女たちはノリが良く、手を叩き喝采を上げ、大いに笑ってくれた。せっかく芸をやるのだからコイツらの反応が一番正しい。
 「うわぁ、よくやるよ…」と呆れた様子なのは小島。
 そして「低能ね」といった表情で俺を蔑むのは市河。
 じぃ〜っと何を考えているのか解らない感じで見てくるのはぽっちゃり杁山。
 最後に目を見開いて鼻の穴を広げている守谷。

 杁山と守谷はちょっと耳が赤くて、目は充血している。熱っぽい視線で興味しんしんといった様子だ。

「どうした? 早く脱げよっ」
 身も蓋もデリカシーもない喜多野はアハハと笑いながら野次を飛ばす。女子の反応を見ていた俺はふと我に返った。ハーフパンツを脱いでからブリーフを脱ぐまでの時間が長いと、まるで俺が恥ずかしがっているみたいだ。そんなことがあるわけがない。男はいつだって堂々としているものだ。俺は躊躇なくブリーフを下ろしてやる所存である。

「靴下もちゃんと脱げよ」
「っ!!?」
 ブリーフに手をかけたところでまた喜多野が声を上げる。群衆の中に笑いが生じていた。こういうのは靴下を脱いでからブリーフじゃないのか? という突っ込みだ。
 俺が恥ずかしさのあまり脱ぐ順番を間違えたんじゃないのかという空気だった。脱ぐ順番などどっちでもいいだろう!
 俺は敢えて間違ったんじゃないと示すために紙皿を股間に充てながら先にブリーフを脱ぐ。

 片手でブリーフの両サイドを少しずつ摺り下ろして膝まで下ろしてやった。大丈夫だ。股間は紙皿でしっかりガードしてある。

 女子たちの空気感が変わった。

 息を呑むというのか、笑いが引っ込んで「おぉ」という感心が高まったようだ。笹木、渓口、砂藤だけはまだショーを楽しむノリで手を叩いて笑っていた。しかし「本当に全裸になるのかよ」と表情が一変したのは喜多野だ。俺が脱げずに泣き出してしまうのを期待でもしていたのだろうか。勇気のあるやつだと喜多野は俺のことを認めたようだ。
 柏木と渡部姉はショーを楽しんでいたが、少し恥じらいが上回ってきた様子で頬を染めて目をパチクリとさせる。マジックショーで『人体切断』にタネがあると解っていても「ほんとに大丈夫かな?」と心配するような感じだろうか。

 中邑は両手で顔を覆うようにして口元を隠した。顔が真っ赤で身体を引き気味にしている。西濃は下を向いて、伊駒は甲斐甲斐しく中邑を守るように身を寄せていた。
 相変わらずぽけーっとした様子の渡部妹。

「いやだっ もうっ」
 中邑は誰よりも恥ずかしがっている。お母さんとお姉さんの前だから殊更なのかも知れない。修学旅行のときは夜だったし状況が状況だからな。
 チラチラと横目で俺の股間を見てくる。

 ムクムク。
 ムックゥ…。
 半勃起だったおちんちんはバキバキに硬くなっていった。紙皿を押し退けようとしているのかと疑うほどに俺の押さえつける力に反発してくる。
 紙皿の上からでも硬さが解るほどにカチンカチンだ。
 大丈夫だ。女子たちにはバレていない。

 あ… れ…?
 でも少し… 恥ずかしくなってきた… ぞ…?
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女子のお誕生会で(5)2017-09-02(Sat)

 ツイスターゲームは女子たちだけで大いに盛り上がった。
 俺はと言うとダイニングのテーブルでグラスを片手にスナック菓子を口に入れているだけだ。味などしない。そして少しも楽しくない。当たり前だろう。女どもがキャッキャと楽しそうにしていても男にとっては苦痛の時間なのだ。
 ましてや男子は俺一人だけ。女子のほうでも俺のことを腫れ物のように扱っているようだ。わざと話しかけないようにしている…。敵視すらしているみたいだし。俺だって好きで来たんじゃないのに。
 帰ろうにも、中邑のお母さんが入り口付近のイスに陣取っているため、悪い気がして出ていけない。

「楽しんでる?」
 静香さんが隣の席に座ってくる。「コーラでも飲む?」と紙コップを持ってきて注いだ。
「いつも麻里子と仲良くしてくれてありがとうね」
 などとお姉さんは笑顔で接してくれた。
「一人じゃつまんないでしょ? こういうときは男も女も関係なく騒いだほうが楽しいんだから」
「はぁ…」
 そう言われても男が女子なんかと遊ぶのは格好悪いと思う。男は男同士でサッカーとか野球をやるもんだ。女のママゴトに付き合うなんて他の男子にバレたら仲間に入れてもらえなくなる。
「一緒に遊んだら?」
「うぇ〜…」
 俺は嫌そうに答えていた。
「みんなも男の子と遊ぶのを恥ずかしがってるだけなんだから。君から声をかけなきゃ。ほら、入れてって。言ってみたら?」
「そんなことできるわけねーしぃ〜…」
「じゃあ、お姉ちゃんと遊ぶ?」
「ぃ、いやぁ〜…」
 段々と顔が熱くなってきた。少し歳上の女に優しくされるとどうしていいか解らない。ドギマギとしてしまった。そんなことをおくびにも出さないように俺はぶっきらぼうに「あいつらと遊んでも楽しくねーし」とか「女とは遊べんっ」などと答えていた。

「ほらいこっ」
 静香さんは俺の言ったことを聞いていなかったのか手を引っ張ってリビングの中央に連れて行く。俺は仕方なく嫌々だが女の園へ降り立った。
「みんな。草凪くんも一緒に遊びたいって」
 そして言ってもいないことを静香さんはみんなに告げるのだった。

「は? 遊びたい?」
 笹木は口の端を少し捩じ上げた。いかにも小馬鹿にしたような感じだ。ムカつく顔をしているが、ツイスターゲームの途中で四つん這いになって苦しそうな顔をしているので、それで少しは溜飲が下がった。

「あんたからそんなこと言うなんて珍しいじゃん」
「い、言ってねーし!」

「でもまぁ入れてあげようよ。せっかく来たんだから」
 中邑がソファの中央から慈悲深い言葉を告げる。普段と違って着飾った彼女はまるで王女様のように気品に満ち溢れていた。

「でもなー。プレゼントも持ってこないヤツがさー」
 喜多野が振り向きざまに蔑んだ目をする。ツイスターゲームの途中で大股を開いて笹木に跨っていた。
「ふつー持ってくるよな」
 がさつで有名な彼女らしく、誰もが思っていて口にしなかった俺の非礼を憚(はばか)りもなく責め立てた。

「あーアタシも思ったソレ。渡部の妹ちゃんでも色鉛筆セット持ってきたのに」
 砂藤が続く。

「そうそう、常識がないんだよ。草凪は」
 笹木が解ったような口調で後を継いで言い放った。

「もー…。それは別にいいんじゃない?」
 中邑はこれ以上言ってやるなよといった感じで少し困った顔をする。

「男子だからしょーがないか」
 渓口が床に寝っ転がったまま口を挟んだ。

「でもさー。こういうことはちゃんとしたほうがいいって」
 砂藤はしかし譲らない。プレゼントも持ってこないようなやつを仲間に入れるべきではないと厳しい。全体的にはどちらかと言うとみんな同じ意見のようで、中邑もそれ以上は擁護できなくなってくる。

「くっ」
 どうしても遊びたいなんて言ったつもりもないのに。俺がワガママを言っているみたいじゃないか。いつの間にか静香さんもダイニングに戻ってしまったようだし、俺も引き返そうと思った。

「何か芸したら?」
「あー、そういうんでもイイんじゃない?」
 笹木と砂藤が頷きあった。
 な、なんだと…。

「プレゼント代わりに皿回しとかして盛り上げなよ」と砂藤。
「歌とかダンスは?」と渓口。
「草凪にできるわけないでしょ」と中邑。
「腹芸ならどう? 誰でもできるし」と杁山。
「キモーい。イヤー」と渡部の妹。

 女子どもは俺の意見も聞かずに勝手に盛り上がり始めた。

「何やってもらう?」
 渓口などはキラキラした目で足をバタバタさせている。

「草凪100%やったら?」
 笹木が被虐的な笑みを浮かべて俺を見る。

「な…」
「得意でしょ? あんた」
「ぇ…」
裸芸とか前にやってたし」
「いや、アレは…」
 芸じゃない。消したい過去の話をしないで欲しい。

「いいじゃんソレ」と渓口。
「ぷっ 草凪100%。おもしろそー」と山元。
「プレゼントがないんだからそれで許してあげるわ」と砂藤。
「やぁだー」と中邑。
「草凪得意の噂の裸芸ね。やってよ!」と柏城。
「手ぶらで来たんだからそれくらいやれやれっ」と笑う喜多野。

 俺は口を挟めずにジリジリと下がる。

 しかし笹木は確信犯的に俺を追い詰めてきた。
「一緒に遊びたいんでしょっ。あんた裸になるのに躊躇しないキャラなんだからいいじゃん」

「おぼんでアソコ隠すんだよね!」
 渓口が身体を起こしておぼんを探しに行った。
 ダイニングでゆったりと寛ぐ中邑のお母さんとお姉さんは子どもたちの暴走を「あらあら微笑ましいわね」みたいな様子で眺めているだけだ。おぼんを取りに行った渓口に「これでいいんじゃない?」と紙皿を渡す。
 直径15センチくらいの小さいやつだ。

「やーれっ やーれっ」
 女子たちは妙な盛り上がりで手拍子を始めた。渓口が戻ってきて紙皿を俺に渡す。笹木は俺の背を押してベランダの前に追いやる。

「いや… あ…」
 全国のお茶の間にアソコさえ隠していれば裸で登場してもいいという市民権を得てしまったアノ裸芸。眉をひそめる親御さんも多い中、中邑のお母さんは寛容だった。お姉さんも笑顔で見守っている。中邑は眉根を寄せながらも苦笑いで止めはしない。
 もはや誰も咎めない。
 「やれコール」でオーディエンスが盛り上がり、ツイスターゲームは中断され、女子たちは期待の目で俺を注目する。

 あの時の記憶が蘇ってきた。
 堂々としていればいいのだ。恥ずかしいことなんてなにもない。
 それに『100%』の芸は見せないことに重点が置かれるものだ。テレビに普通に出られる立派な芸である。確実に隠していればいいのだから修学旅行のときより気が楽というもの。
 俺はやれる。
 簡単だろう、あんなもん。

 紙皿を床に置いて、Tシャツに手をかける。
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tag : CFNM 男性羞恥 お誕生日会 裸芸

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Author:Chuboo
 特殊な性癖であるCFNM。その中でもさらに特殊なストライクゾーンを持った人向けに小説を公開しています。
 CFNMとはいろいろなところで検索すれば出てくると思いますが、一応…→男が裸で女の子はちゃんと服を着ているみたいなこと。このブログでは「恥辱」や「屈辱感」、「プライドを否定する」とかに焦点を絞っています。中でも重要なのは「決してM男ではない」ということ。なかなか理解されにくい世界ですが、徹底して屈折した快楽を希求していきます。

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