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閉ざされた村で 第一話 アマゾネス帝国への潜入者(3)2018-02-24(Sat)

 男児が生まれて来ない。そんなことが本当にあるのだろうか。

 ―だとしたら、呪われている。

 天都水織(あまみや みおり)の横顔を見ながら裕子は思った。
 恐ろしく澄んだ瞳だ。しかし純粋さと狂気が同居しているような気がする。この少女は、いや、天都家こそは伝説に謳われた“姫鬼”の子孫なのではないだろうか。天都家の血は鬼の血なのだ。

 16・7の若い男子が部屋に入ってきた。
「な、なんだい? これは。僕に何か用かな?」
 裕子の聞いた話では、彼は他県から連れてこられたばかりの『婿候補』である。木隠(こがくし)では彼のように定期的に男を外から招くというのが通例なのだ。
 女ばかりの天都家なのだから夫となる男は常に婿として迎えることになる。N市全体で昔から『婿取婚』が多いのは天都家の影響なのだろう。
 男の子は大きな眼鏡にサラサラとした黒髪。いかにもインテリっぽい。青いパジャマ姿で育ちの良さが窺える。プライドが高そうで、鍛えているのか服の上からでも胸や腕の筋肉がしっかりしているのがよく解る。

「オナニーしてみて」
 水織はさらりと言ってのけた。

「は?」
 男の子は明らかに動揺していた。額に汗を浮かべて余裕が失われていくのがありありと解った。彼の中で大きな葛藤があるようだ。
 水織はロッキングチェアに深く腰掛け足を組んでいる。浴衣姿だ。右手は頬杖をついて、いつものようにとろりとした目つきで「命令よ」と言った。

 離れにある花楼(かろう)という建物で、裕子は非現実的な光景を見ることになる。
 花楼とは、簡単に言えば夜の営み専用の部屋といったところだろうか。天都の子どもたちは母屋にちゃんと自分の部屋があるので、花楼は行為のための別宅とも言える。
 木隠の女は13歳になると成人と見做され、この花楼を持つことができるのだ。

「く…」
 男の子は「なんで君の前で」とか「ふざけてる!」など抵抗していたが、天都家の命令は絶対だ。結局は従うしかない。男の子は天都の“婿”としてこの地にやってきたのだ。その立場を充分に理解しているからこそ、現実を受け入れた。
 しゅるるとシャツを脱いで、ズボンも脱ぎ捨てる。

「これでいいか?」
「………」
 水織はつまらないものを見る目だ。ブリーフを穿いたままやるつもりなの? バカなの? と問うているかのよう。
「ちょ、ちょっと勘弁してくれない? 僕だって羞恥心ってものがあるんだ。心の準備というか…」
「そこのベッドでやって」
 水織の指定するベッドは天蓋付きのお姫様ベッドだ。薄いピンクでコーティングされた愛の巣である。男が一人で入るには勇気が必要に違いない。

「嫌なら帰って」
「や、やらないとは言ってないよ?」
 ここで帰るのは選択肢としてありえない。男の子はタジタジとしながらベッドに上がる。そして顔を真っ赤にし、戸惑いながら始める。ブリーフの上からおちんちんを擦り始めた。

「うぅ」
 顔を真っ赤にして腰を引いている。人前でこんなことをするのは初めてなのだ。下着姿になるのも恥ずかしくて仕方がない年頃である。
 反対に水織のほうは落ち着いて眺めていた。花楼は『女性』が絶対のルールだ。水織の言うことがすべて。
 花楼には好きなときに好きな男を呼び出して性処理をしていい。そのための部屋なのだから。しかし水織はまだ生娘らしい。男に一度も手出しをしていない。裕子が家の者に聞いた話では男に興味がないらしい。
 だから男にオナニーをさせるのは遊びであり、天都の人間としての義務でもある。

 こすこすこすこす…
 長い間、躊躇していた。単調に股間を擦っているだけ…。
 やがて意を決した男の子はブリーフを下げていった。片手でおちんちんを抑えてしゅるる… と足首から取り去る。じぃ〜と水織に見守られながら男の子は全裸になった。
 見ないで… と彼は表情で語っていた。見ていられないくらい全身が火照って真っ赤だ。おちんちんを大事そうに隠して上下にゆっくりと擦る。
 膝立ちになって「はぁはぁ」と息を荒くし始めていた。
 水織は退屈な映画でも鑑賞しているみたいに小さくあくびをする。眠たくなってしまったようだ。男の子は理解しているはずだ。婿候補は家長の言うことに逆らってはいけないと事前にレクチャーを受けている。
 水織を満足させないと婿として失格なのだ。
 他の娘たちなら満足させる手段としてセックスを強要されるのだろうが、水織が望んでいるのは命令を実行できる力。忠誠心があるかどうかを試しているみたいだった。

 男の子は手を離しておちんちんを見せた。
 異性の前で自分だけ全裸を見せるという屈辱を受け入れたようだ。へにゃと縮こまった2センチ程度の陰茎はすっぽりと皮を被っている。金玉も緊張で収縮していた。陰毛は薄めでやっと生えそろったばかりのような印象だ。
 同じ年頃の女子に見つめられて、彼の身体に変化が起こる。
 ムクムクともたげてきた。見られていると意識したのか急速に勃起が始まったのだ。申し訳程度に自分で擦っていても勃たなかったものが、女の子に観察されていると意識しただけで興奮してしまったのか。下を向いていたおちんちんは立派に天上を見上げた。
 かっちーんと硬くなりその雄姿を水織に見せつける。水織はまだ映画の前半といった様子でうつらうつらとし始めている。
 王女様を退屈させたら男の子は婿候補を外される。家に帰されるのは一家の恥。彼はクライマックスのような表情で陰茎をしっかと握った。目をつぶって顔を背けつつ、右手で上下に擦る。
 しこしこしこしこぉ…
 いやらしい息遣いが聞こえてきた。
 完全に閉じていた皮が開いて尿道口だけ見えるようになった。左手を金玉に添えてコロコロと撫でて転がす。女性にされていると想像しながらオナニーをしているのだ。オカズがないので水織に見られていることに加えて想像するしかない。

 しこしこしこしこぉ…
 しこしこしこしこぉ…

 水織は男の子のがんばりをまだ認めていないようだ。頬杖で支えていないと完全に寝落ちしてしまう体勢である。退屈そうだ。
 いかに腹を決めたところで男の子はまだ恥じらいを残している。異性に見られながら自慰をするなど屈辱でしかない。だから擦り方も単調になる。形ばかりのオナニーでは水織を満足させられないだろう。
「まだ?」
 水織はいつ始まるのかと訊いた。
 一生懸命にしこしこ擦っているが、見世物としては確かに何もおもしろくない。男の子のがんばりは認めてもらえなかったみたいだ。
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閉ざされた村で 第一話 アマゾネス帝国への潜入者(2)2018-02-17(Sat)

 3流雑誌記者の男が嗅ぎ回っている。そんな噂を耳にしたのは裕子が働き始めて一週間くらい経ったときだった。
 女性にとっての社会のあり方を考え抜いて女性社会を実現したN市。先進的だとして、取材したいと新聞各社から申し込みは多かった。週刊誌の記者がやってきても不思議はない。しかし『嗅ぎ回っている』という表現にある通り、男は市が指定した範囲以外での取材活動が目立った。主に木隠(こがくし)周辺の地域を洗っているらしい。
 木隠周辺は木無里(きなさ)と呼ばれ、古くから温泉地で観光客が多い。山深い木隠と違って食べ物屋など商業施設もある。至って普通の村。女性社会が糾弾されるようなところはない。
 だが雑誌記者の男は『複数の女性たちによる殺害事件があったのではないか』と文献や人々の証言を集めているのだ。天都家ではこの報告を受けて、もし男がやってきても「取材を拒否すること」とのお触れが回った。
 やましいことはなくとも勘ぐる輩は存在する。裕子も口を噤むことにした。

 裕子は母屋の庭を掃いていた。玄関前なので人の出入りをよく目にする。
 しずしずと歩いて入っていったのは次代の当主と噂されている天都桔梗(あまみや ききょう)だ。張りのある若々しい肌で着物がよく似合う。39歳という若さだが堂々とした佇まいは風格があった。背筋が伸びて遠くを見据えるように目線が高い。
 裕子は側道に寄って頭を下げた。桔梗の後ろを高戸蓮香(たかど はすか)が歩いて行く。旅館業務を切り盛りし、母屋のお手伝い衆もまとめる才人。桔梗の先輩であり無二の友人だと聞き及んだ。年相応に老け込んではいるが、桔梗とそうは歳も離れていないはずだ。
「ご苦労様です」
 微笑を湛えて桔梗は頭を下げた。
「ぁ、はい。お疲れ様でございますぅ」
 裕子は慌てて返す。
 天都家は実質的にN市をまとめる豪族である。女性社会を築いた祖とされる家系。ねぎらいの言葉に自然と頭が下がった。

 桔梗と高戸の後ろを少し離れて、ツンとした少女が通り抜ける。

 長女の水織だ。天都水織(あまみや みおり)は中学生のような体躯だが、この春に高校生になる。淡い色のくしゃっとした麻のスカートに水色ノースリーブのブラウスだ。黒髪が柔らかそうにふわりと揺れた。頭を下げることなく横目で裕子を見やる。
「…」
 何を考えているのか解らない表情だ。むすりとして険がある。
 だが人形のように整った顔立ちだ。天上から人々を見下ろすような目は母親譲りと言えた。桔梗の次の当主はきっと彼女だろう。
 まさに女王の風格だ。

 裕子は深々と頭を下げた。
 女中の仕事はシンプルに家事や天都家のお世話が中心だ。旅館業務を手伝ったり秘書のように天都家の他事業の管理もしている。
 天都家を世話する女中は全部で10人。裕子で11人目だ。ここ一週間は掃除に旅館業務などの雑務が中心だった。

 ふと頭を上げると水織がこちらを向いて立っていた。戻ってきたのだ。仔猫のような瞳で裕子を見つめている。
「ぁ、水織お嬢さま…?」
「後で、お風呂、手伝ってください」
 水織は凛とした声で伝えた。
「は はいっ…」
 返事を聞くと彼女は元のように風を切って母屋に入っていった。
 初めて声を聞く。どこか子どものような、たどたどしさは残っていたが大人びた声色だった。強い意思が感じられた。しっかりとした性格で真面目な娘だと聞いている。聡明でクールな少女だ。裕子は自然と再び頭を下げていた。

***

 何ゆえのご指名なのかは解らなかった。
「失礼します」
 裕子が広い浴室に入ると、水織は既に裸でイスに腰掛けていた。スポンジに泡をつけてグシグシと泡立てている。お人形遊びでもするように手元でグシグシと、いつまでもいつまでも捏ね繰り回していた。
 ちゃんと食べているのだろうか。身体の線が細い。決して栄養不足という感じはしないが痩せ気味で子供っぽい。つるりとした肌だ。
「お背中を流したら良いでしょうか? わたし初めてでいつもどのようにされているのか…」
「髪を… 洗ってください」
「はい」
 裕子は歳下の女の子の世話をするのは初めてだ。氏族のお嬢様であればなおさらで、このような業務はもっと先々に任されるものだと思っていた。
「ちゃんと目をつぶっててくださいね」
「誰かに洗ってもらうのって、好きなんです」
 わしわしと頭を洗っていると水織はポツリと喋った。
 裕子は自分の中学・高校時代を思い出し、水織のような風格を持った女子は居なかったなと改めて感じていた。彼女は男子がいかにも好きそうな女の子らしい女の子だ。守ってあげたくなるとはこのことだろう。裕子も水織の小さな背中を見るとそう思える。鏡越しのおっぱいなどは申し訳程度の膨らみであるが、きれいなカーブを描いていて乳首も淡くてきれいな色だ。全体的に華奢で可愛らしい。
「腰を痛めているんですか?」
「ぇ、ええ。はい。慣れない力仕事も多かったのでちょっと…」
 確かに女中になって雑務ばかりなので腰を痛めた。あまり顔に出さないようにしていたが、水織は人の表情をよく見ているようだった。観察力がある。
「どうしてウチへ来たんですか?」
「ええ… あの…… わたし男の方が苦手で。N市は女性に優しくて、女性が輝ける町だって聞いてきました」
「そのまま信じたんですか?」
「…!?」
 水織は目を開けていた。急に失望をしたような冷たい声。どういう意味だろう。鏡越しに裕子を見つめている。裕子は何か試されているような、そんな気持ちになった。
「欺けば死をもって償うんです」
「え」
「ごめんなさい。変な言い方になって。気をつけてください。良くない噂もあるので… あ、あっ目に入っ… あー」
「大変っ 擦らないでくださいっ」
 裕子はシャワーのコックを捻って泡を落としていった。

***

 裕子が調べたところによると、木隠では10年程前に殺人事件が起こっている。証拠も多く残されたリンチ殺人だと言われていたが、未だ解決はしていない。
 牛田竜一も調べている過去の凄惨な事件だ。
 この被害者の男性は金玉を潰されていたそうだ。木隠の歴史を探っていたらしい。複数の女性による暴行・監禁・恐喝。そしてN市よる揉み消しが疑われている。
 女性に優しい『女性社会』は、翻(ひるがえ)せば男性に厳しい社会…。正しいはずのフェミニズムがこんな狂気を生むわけがないと思う。何かの間違いだろうか。
 だが水織の指摘は何かを暗示しているようで、裕子は少し怖くなった。
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閉ざされた村で 第一話 アマゾネス帝国への潜入者(1)2018-02-10(Sat)

 N市に潜入した牛田竜一が『窃盗』の容疑で逮捕される事件の、2週間ほど前。

 李 裕子(り ゆうこ)は新しい仕事を求めて旧 木隠村(こがくしむら)にやってきた。N市からずいぶんと離れているが平成の大合併によって一応はN市内になる。だが駅を中心にデパートや飲食店などインフラが整った地方都市のN市中心部と、山間の何もない木隠とでは、かなり雰囲気が違って見えた。
「これからお世話になります。宜しくお願い致します」
 裕子は就職先である天都家(あまみやけ)の応接間に居た。畳に正座して上司にあたる女性に頭を下げる。
「あなたもずいぶんと苦労なされてきたのですね。ここにはあなたに危害を加える野蛮な男はいませんから存分におやりなさい」
 天都の番頭役である高戸蓮香(たかど はすか)だ。キリッとした眉に老獪で厳しい鷹のような目つき。自信に満ち溢れた口角(こうかく)。地味な旅館の制服に長い髪を後ろで艶やかにまとめ上げていた。

 裕子は満面の笑みを返す。
 高戸のことはバリバリと仕事のできそうな強い女性だと尊敬の念を抱いた。裕子は自分が極度のフェミニストだと自覚している。東京で働いていた頃に受けた上司からのセクハラやパワハラにうんざりしていたから、『女性のための社会』を標榜するN市で就職できたのは嬉しかった。
 N市は『女性が安心して住みやすい町』を目指して全国からフェミニストが集まってくる理想郷である。と言っても男性を迫害する狂信的なフェミニズムではなく、真剣に男女平等を謳って平和を築こうとしている町だ。真に男女平等なのだから優れた人材が社会を管理するのは必然。つまり優秀な女性が男性に憚ることなく数多くの重要な地位を築いているのだ。

 特に木隠の天都家はN市の象徴的な存在だ。

 まず母系制であるということ。母方の血筋によってのみ子孫が継承されていく家柄である。母方の名字が代々受け継がれるのだ。母親が一家の大黒柱であり、長女が大事にされる風習。つまり男性社会と真逆の社会。多くのフェミニストたちは天都家を羨望の眼差しで見ていた。世界的な潮流である『男社会』に、敢然と立ち向かう強い女性たちの象徴というわけだ。
 そもそも男の子は生まれない。
 それも天都家が神聖視されるゆえんである。


 裕子は高戸の後について一通り職場を見て回った。
 天都家の敷地は広い。家族が住む母屋は奥の奥にある。古い日本家屋で10部屋程度の小じんまりとした趣だ。

「チョロ! おすわりっ」
 母屋の庭園から声が聞こえてきた。高戸が「いい機会だから見ておきなさい」と口の端を上げる。廊下を歩いていくと裕子は目を丸くしてしまった。
 30代と思しき男がブリーフ一枚で犬のように座っていたのだ。
「あ、あれは…?」
 裕子は疑問を口にするが、事前に聞いていた噂通りなのかも知れないと思い直した。N市のハローワークで職員が教えてくれたことだ。N市と木隠ではフェミニズムの色合いがかなり違う。木隠の村では男性に人権を与えないという言い伝えがあるのだ。いや、彼を見ると自ら悦んで人であることを放棄しているように見えた。
「はっはっわんわんっ わわんっ はっはっはっはっ」
 犬のようにおすわりして口をだらしなく開けていた。よだれを垂らしてプルプル震えて、庭園の石畳の上に座っている。ブリーフの前は大きく盛り上がって、テントが張られているみたいだ。
「アハハッ 男の癖に恥ずかしいやつっ。なんで勃起してんだよっ。だっせー」
 おすわりを命じていたのは赤茶の髪を後ろでポニーテールにしている女性だ。色黒でお尻がボンと突き出て乳も見事に張り出している。20歳そこそこといった年齢の背格好。ブルージーンズにぴちっとしたTシャツ、黒のベストというシンプルな服装だ。笑うと笑窪ができて屈託がない。まだ女子高生のような瑞々しさがあった。

「彼女は菖蒲(あやめ)様の4女、天都夜宵(あまみや やよい)様です」
「はあ」
 裕子は天都家の相関図をすべて把握していたわけではなかった。高戸はそれを見越して説明しているのだ。

「それから、あちらに腰掛けているのが桔梗(ききょう)様の長女、天都水織(あまみや みおり)様です」
 目を向けてみると縁側に涼しそうなワンピースの少女が居た。見たところ14・5歳くらいか。爽やかな白い生地と生まれ持っての白い肌。相まって輝いて見える。腰まである黒髪にほっそりとした身体だ。座っているだけで品位が伝わってきた。眠そうな目だが、上に立つ者のオーラのようなものを感じる。
 目を奪われた。
 裕子は思わず身を縮ませた。女でも惚れてしまいそうな可愛らしい容姿だ。

「ジャンプ」
 夜宵がスナック菓子を摘んでいて、肩の高さに掲げていた。男はおすわりした姿勢の状態から「わおんっ」と跳び上がってスナック菓子をぱくりと咥える。
 パン食い競走でもしているみたいに手を使わず、後ろ足の力だけで跳んだのだ。見事である。

「あの男はN駅でタバコを吸っていたそうです。禁煙と書いてあるところで、子連れの女性の目の前でね」
「そうなんですか。酷いですね」
「注意した女性に煩いと喚いたらしいわ。駅員のところへ連れて行こうとしたら逃げましてね。そのときに女性の手を撥ね退けたの。喫煙自体は罰金で済ませましたが、彼は女性に暴力を奮った罪でああやって教育しているのです」
「なるほど」
 裕子はウンウンと頷いた。
 クズ男は捕まって当然だ。ましてタバコなど…。あんな男はブリーフ一枚で再教育されていたとしても同情の余地はない。

「チョロ! おちんちん!」
「わんっ」
 野太く汚い声でいい歳をした男が鳴いた。喜び勇んでパンツに手をかけ躊躇なく引き下ろした。ぶりんっと醜く勃起した陰茎が飛び出る。おぞましい。
「きゃっ…」
 裕子は嫌悪感を露わにした。
 服を着ている女性が見ている前でなんのてらいもなく素っ裸になったのだ。
 普通はスナック菓子のためにあそこまで芸はしないだろう。プライドがないのだろうか。
 男はパンツを脱ぎ捨てM字開脚になって、腕は招き猫のようにする。腹をできるだけ広げて見せた。お腹を見せる動物の服従のポーズだ。腹どころかいやらしく熱り勃った男性器まで丸見せだ。尻尾でも振るみたいにブラブラと肉棒が揺れていた。
 夜宵が命じた芸を実行したのだ。
「わっわんっっ」
 興奮しているようだ。酔ったように赤くした顔で、股間はブラブラとさせる。包茎で金玉袋だけが異様にでかいものを、「見てくださいっ」と言わんばかりに振ってみせた。腰を突き出してブラブラとさせる。
「わほっ」
 陰茎を見せつけることで夜宵に媚びようという浅ましい生き物だ。

「よく、出来・ま・し・た!」
 夜宵は足を振り上げ、サッカーボールでも蹴るようにしてシュッと振り抜いた。「た!」という掛け声に合わせて金玉に足の甲がヒットする。
 バチンッ!!!
「あおんっっ!!!?」
 風船が割れたような音がした。蹴られた瞬間、男が宙に浮き上がっていた。金玉がせんべいのように潰れたのを見てしまった。男は堪らず金玉を手で抑え、無様に地面を転げ回った。

 夜宵は町の女性自警団〈アマゾネス〉の団長を務めているそうだ。市民の警護と罪人の更生を目的につくられたN市独自の組織である。
 男性が女性社会であるN市で生きていくためには従属が絶対条件だろう。クズは調教して手懐け、成績優秀な男であっても町のために働かせる。どちらにしても女性の上に立つことはない。
 裕子はゴクリと唾を呑む。
 女性が男性社会で虐げられてきたのと同様に、ここでは逆に男性が虐げられる。男はそれを肝に銘じるべきなのだ。
 裕子はゾクゾクとしてしまった。
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閉ざされた村で 竜一の章 プロローグ 姫鬼の舌遣い(2)2018-02-03(Sat)

 少女は雌狐のようなポーズで伸びでもするようにお尻を突き出していた。両膝を地面に着いて、竜一が抵抗できないように手首をしっかりと握り込む。襦袢がはだけて乳が露わになっている。
 竜一は生まれて初めてのフェラチオで茫然自失の状態だった。股ぐらに少女の頭がすっぽりと埋まっていて、情けないことに力づくで退かすこともできない。
「ぁ… ぁっ… ぅう」
 女は男より下の存在なのに。力や頭脳でも敵わないはずの女なんかに抑え込まれている。恐怖してしまった。
「や、め… やめろっ…」
 力なく絞り出した声に少女は耳を傾けない。夢中になって頭を上下に振って陰茎にむしゃぶりついていた。舐めれば舐めるほどビクビクッと反応を返す肉棒。単純にそれを遊びとして愉しんでいるように見えた。仔猫の雌が雄ネズミを甚振るように、主導権は少女のものだ。
 腰の位置をモゾと動かして蹴り飛ばしてやろうと思っていたが、竜一は気持ちよさにクラクラとしてきた。力がどんどんと抜けていくような気がする。
 どれくらいそうしていただろうか。いつの間にかよだれを垂らした少女の白い顔が目の前にあった。
「もう頃合いかしら?」
 首を傾げて無邪気に言う。竜一の両手を解放して自分の下着を横にずらす。とろりと蜜が溢れた割れ目が露わになった。よく見えないが竜一が見る初めての女性器だった。少女は右手で竜一の肉棒の根本を握って逃げられないように固定した。割れ目を充てがい、にゅぷと腰を落としてくる。
 あっさりと無感動に竜一の童貞が奪われた。
 ずちゅぷっ
「ぁはあっ!?」
 廃人のよう呻く。電流を流されたから身体が自動的に反応しただけだ。手慣れた様子の少女に対して初めての快楽にされるがままの青年は情けなかった。
 膣の奥までずぷぷと嵌まる。しっかりと咥えこまれてしまった。
「はうぅ」
 少女は切なそうに熱いため息を吐いた。
 無理やり快楽を与えられた竜一と能動的に甘いケーキを食べに行った少女の違いは明白だ。腰を動かしたのは少女のほう。木に釘を打ち付けるようにして腰を上から打ち下ろす。
 ぱんっぱんっぱんっぱんっ
 膣の奥のほうまでしっかりと肉棒を挟み込んできゅっと締める。
「はっはっはっふはっ…」
「ぁ… ぁ…」
 歳下の少女にリードされてる…。
 女の子に犯されているんだ…。
 そう認識した途端に涙が溢れた。歳上の男のプライドが形無しだ。
 プライドを振り絞って竜一は少女を突き飛ばそうと両手を上げた。白い肌に触るとあまりの柔らかさにドギマギとしてしまった。少女は邪魔だと言わんばかりに竜一の両手を退けて手首を握った。そのまま木の幹に押し付ける。だんっだんっと磔にされて身動きがとれない。ぴったりと手の甲が幹に張り付いていた。竜一は少女と対等ではないのだ。少女のためのディルドと化してしまった。
 ぱんっぱんっぱんっぱんっ
 リズミカルに腰を振って肉棒を犯す。一方的にもて遊ばれた。
「ふんっふんっふんっ」
 鼻息を荒くして腰を落とす。蹂躙される情けない肉棒。少女はうっとりと味わっていた。ジタバタ暴れる竜一をものともしていない。
 情けない童貞で、ちっともガマンのできない早漏の竜一は、いきなり絶頂を迎えていた。

 どぴゅっっっ!!
 前兆もなく漏らしてしまった。どくどくと膣の中に射精してしまう。驚異的な早漏男だ。
 どっぴゅ!!
 どぴゅぴゅっ!

 びくっ
 びくくっ
 気づいていないのか少女は構わずに腰を振っている。肉棒はぞうきんでも絞るみたいにきゅっと締め付けられ、しっかり精液を搾り取られていた。
「ん? んん…。あぁ〜ぁ…」
 情けなく萎んでいく男根にガッカリといった表情をする少女。不快を露わにしていた。お愉しみを勝手に終わらせたのだから当たり前だ。
「しょぼぉい…」
 それは男性に対して最大の侮蔑。竜一はふつ… と怒りの炎を灯らせた。そして猛烈に恥をかかされて顔が真っ赤になる。早漏なのは女性に対して申し訳ないと思えるが、しかしそれをなじるのは身体的特徴を貶すのと同じじゃないか。
 ガキ臭い女なんかが、立派な大人の男に生意気な口を利くんじゃない!
 だが、すっかり萎んでしまったショボチンは膣からにゅると追い出される。硬度を失って締め出されてしまったのだ。家から追い出される男のようで情けない。しらぁ… とした失望の表情で口を尖らせる少女。「口程にもないのね。空気の読めない男は嫌ぁい」とでも言っているようだった。
 興味の失せたおもちゃから手を放してすっくと立ち上がる。
「ちっとも我慢できないんだ?」
 ニタァと笑われ、明らかに歳下の少女から侮辱された。
「くそ…」
 竜一は情けなくお尻を向けて逃げ出す。四つん這いだ。
「また鬼ごっこ? わち飽きたんよ」
 少女はハイハイして逃げる赤ん坊を取り上げるようにして不用意に竜一に近づいた。

「うぁああああ!」
 振り向きざまに落ちていた小太刀を拾って少女の腹に刺した。
「あ…?」

「ははっ ふはっ あひゃはがはあっははっははっ」
 竜一は勝ったと確信する。小太刀は鬼を殺すために持ってきたものだ。少女は今の一刺しで血を流して倒れる。これなら絶命に到らしめられるだろう。
「ははっ やった!」
 どんなに女が権利を主張したところで最後には男が勝つようにできているのだ。男が力でねじ伏せれば男女平等の虚構にみんな気づくだろう。
 血の池は徐々に広がっていった。
 似非フェミニストどもがつくってきた帝国の実態は竜一が記事にして週刊誌で報じられることになる。不正を暴けばこの村も終わる。
 竜一はとろとろと歩いて県境を越えていくのだった。

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Chuboo

Author:Chuboo
 特殊な性癖であるCFNM。その中でもさらに特殊なストライクゾーンを持った人向けに小説を公開しています。
 CFNMとはいろいろなところで検索すれば出てくると思いますが、一応…→男が裸で女の子はちゃんと服を着ているみたいなこと。このブログでは「恥辱」や「屈辱感」、「プライドを否定する」とかに焦点を絞っています。中でも重要なのは「決してM男ではない」ということ。なかなか理解されにくい世界ですが、徹底して屈折した快楽を希求していきます。

Readme!
◇18歳以上推奨
 特殊な性欲を刺激する文章なので、各自で大人だと自覚できる方のみお読みください。
◇表現について
 作中にいじめ・暴力的な表現があります。嫌悪感を抱かれる方はお読みになられないほうがよいでしょう。
◇著作権
 一応著作権は主張します。
◇フィクション
 作中の人物・団体などは実在するのもあるかもしれませんが関連はありません。
◇リンクフリー
 リンクはフリーです。言ってみたかっただけです。相互リンクもよろしくお願いします。
サイトポリシー
◇男子厨房に入ってCFNM(このブログです)
★基本的に毎週土曜日 18時 更新!
 短編小説を連載形式で載せていきます。
 1記事 1000字前後。
★プレビュー小説!
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 1記事 2000字くらい。
★不定期でコラム記事を更新!
 CFNMについて何か思いついたら書きます。
◇男子厨房に入ってCFNM+(パブーのブロマガです)
※アダルト有料ブロマガ 月額400円で月3回くらい更新。月間で約2万字書いてます
★基本的に隔週日曜日 20時 更新!
 短編小説を少しずつ載せていきます。
 1記事 6000字くらい。
★毎月25日に1話完結の短編小説を更新!
 だいたいおちんちん丸出しになる男子羞恥の短編小説。
 1記事 8000字くらい。
◇男子厨房に入ってCFNM Novels ★同人活動。3・4ヶ月に1冊のペースで刊行予定
 ブログ・ブロマガのお話を再編集して電子書籍にしていきます!
 40000字目安。挿絵付きでリリース。
★男子厨房に入ってCFNM Collection
 ブロマガの読み切り短編小説を12話分まとめて単行本にしました。
Last Update 18.6.30
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